Team

 


受発注関係を超えた、ひとつのプロジェクト。

加賀谷木材、大和板紙、モリタ、COMMUNE、誰ひとり欠けてもできないのです。

 

 
_DSC6683.jpg

木を丸太から扱う者としての新しい挑戦。

わたしたちは山に入り、原木の選定から製材、加工製材、絵馬、厚さ1mmの経木、木のおもちゃに至るまで手がける日本でも数少ない会社です。エゾマツの端材は、弊社の経木の弁当箱の製造過程で削ぎ落とされたものです。大量生産によるコストダウンを図る世の流れに逆らい、一本一本の木を大切にすることによって、思いもよらなかった利用価値に出会うことがあります。まさにモリタの近藤さんとの出会いがそれでした。さらにデザイナーとのチーム開発は木材だけの枠から飛び出し、思わぬ発想をおしえてくれました。それがしっかりとした商品となっていくことには驚きです。木には温もり、優しさ、肌触りの良さ、断熱、遮音、響きなど多様な良さ、また欠点もあります。しかし最大の特徴は「植える」「成長する」「伐採する」この繰り返しによって永遠の資源になりうるということです。ぜひエゾマツクラフトも末永く育ってほしいと思います。
 

加賀谷拓也

加賀谷木材株式会社(木材加工会社)

北海道津別町を拠点に、原木の加工から、木製品の開発販売まで、すべて自社で行う木材加工会社。北海道にこだわりながらも、コスト高になりがちな木材の無駄を徹底的に省き利用することで、輸入木材ではなく、北海道の林業や地域社会に貢献し続けている。

www.kagayamokuzai.jp

試行錯誤の末に生まれた繊維感。

弊社は古紙からボール紙などの板紙を製造する再生紙メーカーです。再生紙は使用済みの牛乳パックやダンボールなどを溶解して製造。なかでも植物性の繊維などをパルプや古紙に混ぜ合わせた製品もあり、今回の「エゾマツクラフト」もこの製法でつくりました。モリタの近藤さんから北海道の板紙をつくりたいとお話をいただき、「ご当地ペーパー」という発想は持ってなかったのでとても新鮮でした。今回のプロジェクトでは染料を混ぜ込む工程に工夫があります。当初の検証ではエゾマツが染料で一緒に染まってしまい、エゾマツ自体が見えなくなりました。そこでエゾマツが染まりにくい特殊加工をしてから混ぜています。チームでの開発の甲斐あって、まるで木肌のような繊維感のある板紙ができあがりました。北海道の紙でありながら全国のみなさんにかわいがってもらえるようになってほしいですね。

 

北村貴則/須田尚起

大和板紙株式会社(板紙製造メーカー)

創業60年を越える大阪の板紙製造メーカー。古紙再生パルプを積極的に使用しながら、板紙の可能性を広げるべく、他にない独特の風合と色みを持った様々なオリジナルの板紙を開発。今では様々なデザイナーが書籍やパッケージに大和板紙の板紙をセレクトする。

www.ecopaper.gr.jp/daiwa/

 

思いをカタチにするチーム。

今は地方の時代です。日々パッケージを製造するうちに「ローカル性が伝わる」「質感のよい」オリジナルのパッケージ紙が必要だと考えるようになりました。まずはどんなチームを組むかを構想。以前からお付き合いしている大阪の大和板紙は比較的、小ロットの紙製造が可能で、紙の表面に植物などの端材を混ぜ込んだ紙ができるとのこと。ちょうどその頃、オホーツク地方・津別町の加賀谷木材と知り合いました。原木をできるだけ余すことなく使い切る工夫をしている工場で、ここで発生するエゾマツ材の廃棄端材を使おうと思いつきました。そして大切なのは、質感がよく、魅力的な色調の紙にすること。コミューンの上田さんは色や素材の質感を見極める眼を持っているアートディレクターです。こうして「エゾマツクラフト」プロジェクトはスタート。粘り強く打合せや試作を重ねた結果、納得のいくクオリティに仕上がりました。紙は木が主原料なので、あらためて木の大切さを見直す機会になりました。関わったチームのみなさんとそれを共有できたのが一番よかったことです。
 

近藤篤祐

モリタ株式会社(紙器製造販売会社)

札幌にある1932年創業の紙器製造・販売会社。紙箱の製造、形状やデザインの提案を行うだけでなく、牛乳のパッケージの再生紙を使用した板紙ブランドの立ち上げ、クリエイターがデザインした箱のデザイン展HAKOMARTを主催するなど、積極的に活動する。

www.hakop.jp

 

異業種だからこそ、ひとつのゴールへ。

紙箱製造を専門にするモリタの近藤さんが仕切ってくれたことで、パッケージという最終的な表現手法までイメージを共有できたことは大きかったです。また木材加工、紙製造、デザインという川上から川下それぞれの視点、技術、知識の観点から、良い悪いを検証するプロセスにも意味がありました。僕はデザイナーとして色、テクスチャー、厚みなど紙から感じられるすべての要素を理想に近づけたいと思ってプロジェクトに挑みましたがやはり技術的に難しいこともありました。テクスチャーについてはなるべくざらついた質感を残したいと思いながらも、パッケージなどでの汎用性を優先したため、非塗工にはできなかった点。厚みに関しては、デザイナーとしてはなるべく厚い紙がほしいという気持ちがあったが、バリエーションを増やす=在庫リスクがあり、まずは折箱として使用できる厚さでリリースすることを優先した点。世の中には「GAファイル」「チップボール」など優れた厚紙があります。エゾマツクラフトがそれらを超える定番に育っていってほしいと願っています。
 

上田亮

株式会社COMMUNE(デザイン会社)

札幌を中心に国内外のデザインやブランディングを行うクリエイティブコレクティブ。出会いと学びをテーマにしたイベントスペース「MEET.」や、自給自足を目指すオフグリッドカフェ「PHYSICAL」を自ら運営し、様々な活動を展開する。

www.commune-inc.jp